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  • 2015.04.04 Saturday
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114 コーヒーブレイク

先月半ばから後半にかけて、やらなきゃならないことが山積みになり、身動きとれずにすごしていた頃。その重みに耐えかね、、毛布にくるまり、何度もぐずぐずと燻る。こんなとき、きらしてしまったコーヒーが恨めしい。香り一つで、もう少しやる気になれるのに。集中続かず、イライラがピークに達したところで、コーヒーを買いに走る。どうにも困ってしまったら、、ほんの少しとわかっていても、コーヒー片手にブレイクを。



僕が行く店は、よくない豆をすべて手で取り除いてから焙煎をしている。いい時間に行くと、あたりはコーヒー豆の香ばしくも甘いにおいに満ちていて、それだけでちょっと嬉しくなる。けれども僕は、この店に来ると必ず、初めてこの店に入った日の失敗を思い出す。

4年ほど前のこと。コーヒーを語れるほど、そんなにいろいろ試したことなどなかったくせに(これは今もだけれど)、、お客さんに出せるコーヒーを探しに、他のお店のコーヒーも試してみてるところなんです、などと生意気なことを言ってしまい、、店員さんの口元に小さく笑みが浮かぶ。けれども、それじゃ試してみますか、と店員さん、7〜8gほどのコーヒー豆を量りとり、手早くミルにかけて粉にする。

ミルにかけると、レジの前にいる僕にも香ばしい香りが届いてくる。その香りをかぎ、、いろんなお店でコーヒーを”飲み較べているはず”の僕が、、やっぱり豆をひくといい香りがしますね〜、なんてことを、はずかしげもなく口にする。しかし、ぽろりと剥がれた僕のメッキのことなど大して気にもせず、店員さんは布製のフィルターをセットし、ミルから粉をいれ、湯を注ぐ。

目の前で湯を注がれたコーヒーの粉は、ゆっくり泡となってふくらむ。無色透明だった湯は、そのふくらみを通り過ぎる段階で香りと味わいを身に付け、化学の実験で目にするようなビーカー調のガラス容器の中で有色に透き通ってみせる。

店員さんがフィルターを取り去り、薬品を混ぜる時につかうような小さなガラス棒でさっと一まぜすると、あたりに、豆を挽いた時よりも心もち甘い香りがさらにふわっと広がったように僕には感じられた。そしてようやく容器が手渡され、香りを一かぎして、一口。・・ん!ごめんなさい。反射的に店員さんの顔を見ると、、不敵な笑みを口元に隠したまま、、別に気に入らなければ買わなくてもいいですよ、と書いてある。しまった。僕は何もわかっちゃいないのに、、よけいなことなど言うもんじゃない。自信に満ちた店員さんの前で、恥ずかしさはこの上なく、、完敗宣言の豆をひいてもらって店を後にしたその日。



そんな失敗をしたからか、店に入るといまだにその時の恥ずかしさを思い出すのだけれど、そんな恥ずかしさを知られているということ、そして、僕は何も知らないんだということ、そうした思いがあるからこそ、今は気楽にその場にいられる。

どの豆にするか決めきれない時には、何かおすすめはありますか?と訊ねてみる。すると、「お好みは、薄め、濃いめ、すっきり、、いろいろありますが、、」。そうですね、だったらすっきりしたものを。「だったらこれか、これもいいですよ」。じゃ、こちらを100g。「豆はひきましたっけ?」。毎回訊かれるこの質問も、豆で買って家でひいた方が長もちするからだろうと察しつつ、、ええ、お願いします、と応える。ちょっとしたやりとりを通して、少しずつ、少しずつ、ものを教わる。これ、意外と気持ちいい。隠そうとしてた素の自分が、ちょっとだけ伸びる感じ。ちょっとだけどちゃんと伸びて、隠したり、力を入れたりしなくてもよくなるこの感じ。なんだか少し、すっとする。もう少し早い段階で、このことに気づいていたのなら、、知らないことは知らないと、いろんな場面で僕はもっと素直に言えたんだろう。

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  • 2015.04.04 Saturday
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  • 23:59
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コメント
はじめまして。
コーヒー切らすと大変です。コーヒーは大好きなのに、焙煎の香りが苦手です。
おととい右手(利き手)の手首を捻挫してしまったら、とたんにエスプレッソメーカー(ガスにかけるタイプです)を操れなくなり、何年振りかにインスタントコーヒーを買って来たんですが、案外美味いんだなー、と
驚いてます。

お薦めを尋ねる、って使える手ですよね。
そういうコミュニケーションが、我々の日々には少し不足しているような気がします。

また!
>> Jean de Tokioさん

はじめまして。コメント、どうもありがとうございます。

焙煎の香り、苦手ですか。
僕は、あの香りだけで頭がすっきりする気がするのですが、、。
悪のりして、ちょっとだけ、こういう場所に引っ越してみるか、
と思ったりもしたのですが、、服も布団もコーヒーの香りになりそうなので、
思うにとどめることにしました。

> お薦めを尋ねる、って使える手ですよね。
仕事が好きな人ほど、いいものはいい、と、ちゃんと言ってくれるので、、
迷った時にはいつもこの手をつかってます。
それに、ちょっとしたやりとりが、後々に繋がりますしね。

> そういうコミュニケーションが、
> 我々の日々には少し不足しているような気がします。
この言葉。僕もそう思います。
日々の生活、なんだかちょっともったいない。そんな気持ちもあって、、
ちょっとしたコミュニケーションができるお店、
見つけるたびに、ひっそりと嬉しさをかみしめてます。
Jean de Tokioさんも、そうした場所、
お持ちでいらっしゃるのでしょうね。

さておき、、手首のねんざ、大変でしたね。お加減はいかがですか?
どうぞ、お大事になさってくださいね。
僕の方こそ、また!よろしくお願いします。
(そうそう。シュトレンがとてもおいしそうで。
この時間に見ちゃうと、お腹が。(笑))
  • rhino
  • 2008/02/07 2:14 AM
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インスタントな今日この頃
数日前の日記で、カフェイン中毒者だということをみなさんに告白 した。でも、どうやら既に昨年末にもココで、中毒だ!って書い てたよ。ま...
  • Jean de Tokioが行ったり来たり
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